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投稿者 ・ むねっち 様 | |
これは、私が高校生の頃体験した話です。 私自身、小学校高学年の時に日本に来た帰国子女だったということもあって、 アメリカ人留学生の男の子が私の家にホームステイに来ていた時期がありました。 その留学生の男の子がアメリカへと帰る日の前日、 「ボク、日本ノオ墓ヲ見テミタイデース。ボクニショウミー墓見セテクダサーイ!」 と言ってきたので、不謹慎と思いつつも留学生と もう一人の友人(以下I)と三人で高校の近くの墓地へ向かいました。 お墓に着くと、留学生とIは墓苑でふざけあったり写真を撮ったりで、 私はそんな二人に嫌々付き合っていました。 留学生がアメリカへ戻った日の夜、 私はおかしな夢を見ました。 このような夢でした。 一緒に墓地に行ったIと共に、 なぜか非常階段のような階段を必死に登っていました。 Iの後を追うように階段を登り続けていると、 階段の上の方で人影が見えます。 私はなんとなくその人を見てはいけない気がして、 下を向きながら駆け抜けました。 そしてまた延々と上へと続く階段を登る。 すると突然、体が動かなくなり まるで時間を捲き戻しているかのように、後ろ向きに、体が勝手に階段を下っていきます。 そんな中、Iは黙々と階段を登っていく。 どんどん小さくなっていくIを眺めていると、 勝手に階段を下っていた体がふと止まりました。 …後ろに誰かがいる。 階段を登っている途中で、立っていた人だ。 自由の利かない体で振り向く事が出来なかったのですが なぜかそう思いました。 すると、後ろに立つ誰かが呟きました。 『……っ…も……逃げられないよ』 …そこで私は夢から覚めました。 そして、この奇妙な夢を見た日から、 私の身に不思議なことが起こり始めました。 翌日、 寝ようとベッドに潜り込むと、なんとも言えない不快な心地に 私は眠れずにいました。 …何時間ベッドの上で起きていたのか 朝方、外の光が淡く私の部屋に入ってきた頃、 子供の声が聞こえました。 それは複数の子供達の声で何かを歌っています。 よく分からないけど、多分日本でいう童謡のようなものでした。 こんな夜中に遊んでるの?と疑問に思っていると、ある事に気が付きました。 声が…私の周りを回っている…! そう、子供達の声が私を中心に回っているのです。 姿は見えないのに…。 子供達の声がどんどん耳元に近づいてきます。 うるさいほどに私の耳元で童謡のような歌が聞こえているその時、 突然体が硬直しました。 これが金縛りと言うのでしょうか。 …でも、硬直した理由は単に金縛りではありませんでした。 見てしまったのです。 寝ている私の頭上に立ち、私を見下ろす顔を。 無造作に垂れ下がる長髪。 その中からカッと見開いた二つの眼が私を睨みつけています。 眼をそらすことも、つむることも出来ないまま、私も見続けるしかありませんでした。 気付いたら私は気絶していました。 その現象はそれから毎晩続きました。 私の周りを回る子供達の声。 私を見下ろす人。 恐怖のあまり両親の寝室で一緒に寝ても、 その現象は無くなることはありませんでした。 そのような生活が一週間程続いたある日、 寝不足と毎晩続く恐怖で、軽いノイローゼになっていた私を気遣い、 母親が私に聖書を貸してくれました。(私の両親はキリスト教を信仰しています) その晩、私はベッドの脇に聖書を置き、眠りにつきました。 それ以来、子供達の声を聞く事も私を見つめる人も現れなくなりました。 私が見た人は、お墓からついてきてしまったのでしょうか。 今もベッドの脇に聖書は置いてあります。 ▲ |
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